雨の宮古島、人間らしさとAIと。

AIに仕事を奪われる可能性がある脚本家たちは抗議しているが、実際にカリフォルニア州のある映画製作会社では、対話型AIサービスChatGPTを使って脚本や絵コンテを作成しているという。

AIというと、アメリカで爆発的ヒットを記録した「M3GAN/ミーガン」が日本でも6月9日に上映開始された。「パラノーマル・アクティビティ」等ホラー映画で知られるブラムハウス・プロダクションズと、「ソウ」シリーズのジェームズ・ワンのタッグによるプロデュース作品だ。

交通事故で両親を失った少女ケイディが、叔母のジェマの元で暮らすことになるのが物語のはじまりだ。子ども向けおもちゃの研究一筋のジェマは、ケイディの育児に手を焼く。そこで、開発途中だったAI人形のミーガンに育児を任せることにした。ジェマを守ることが最重要事項のミーガンは、邪魔な存在を消し去ろうと狂暴化していく……。人形なのに妙に人間臭いミーガンの不気味さが、何とも言えない恐怖と好奇心を掻き立てる一作だ。

今や私たちの生活とテクノロジーは切り離せない関係となっている。スマホはもちろんのこと、音声操作できる家電や、ペットや子ども用の見守りカメラなど……。どれも便利で一度使えば手放せないものがほとんどだ。

もしミーガンが暴走しなければ、ジェマはそのままケイディの世話を任せていたんじゃないだろうか。

そして、もし実際にミーガンのような高機能AIロボットが発明されれば、保育士や教師が不要になるかもしれない。ChatGPTが広く普及しはじめ、ライターや会計士などの職業が今後不要になると言われている時代に、十分なリアリティで怖さを感じられる映画だ。

テクノロジーやAI技術は、今後も進化していくだろう。人間の便利さへの追求は止まることがない。だからこそ、それに負けないくらい人間は人と人との繋がり、ぬくもりを求めていくのだと思う。

テクノロジーの進化は”人間らしさ”と対立しない、少なくとも私はそう願う。

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S H A R E
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1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。