【一流シェフのファミリーレストラン(S1)】キッチンのせわしなさと心の闇

キッチンが舞台の作品

群像劇と臨場感を見せ場にするのは、キッチンを舞台にした作品の定番の切り口だ。

映画でいうと、ニューヨークの人気レストランが舞台の群像劇「ディナーラッシュ」(2001)や、90分間ワンカットでロンドンのあるレストランの一夜を描いた「ボイリング・ポイント/沸騰」(2021)がある。

どちらの作品もそれぞれ魅力があるが、「一流シェフのファミリーレストラン」は、シリーズ作としての醍醐味を最大限活かした構成をしている。

1話ずつ完結しているようで、全ては最終話の“ある出来事”に向けて丁寧に積み重ねられているのだ。

マイケルからカーミーへの手紙や、1話目の最後に登場するトマト缶ですら、最終話に向けた伏線だ。

驚きの最終話を見終えた人への最大のご褒美は、良質なアップグレードを遂げたシーズン2が待っていることである。

「THE BEEF」の未来は?問題児リッチーは更生するのか?すべての疑問、期待に応えてくれるシーズン2は現在配信中となっている。

──

■一流シェフのファミリーレストラン(S1、原題:The Bear)
監督:クリストファー・ストーラー
脚本:クリストファー・ストーラー、ジョアンナ・カロ、ソフィヤ・レヴィツキー=ウェイツ、カレン・ジョセフ・アドコック、キャサリン・シェティナ、レネ・グベ
撮影:アンドリュー・ウェーデ
出演:ジェレミー・アレン・ホワイト、エボン・モス=バクラック、アイオウ・エディバリー、ライオネル・ボイス、ライザ・コロン・ザヤス、アビー・エリオット、エドウィン・リー・ギブソン、マティ・マセソンほか
配信:Disney+

(イラスト:Yuri Sung Illustration

1 2 3
S H A R E
  • URLをコピーしました!

text by

1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。