【一流シェフのファミリーレストラン(S1)】キッチンのせわしなさと心の闇

osanai the bear

兄の死をきっかけに、彼の店を引き継ぐことになったカーミー。腕は一流だが、心に傷を抱えながら一筋縄ではいかないスタッフたちと共に店の再建を目指していく。
監督、脚本を手掛けたのはクリストファー・ストーラー。シーズン1全8話と共に、2023年7月よりシーズン2全10話がDisney+にて配信されている。

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キッチンは戦場だ。客からのオーダーに応えるべく、それぞれの持ち場でシェフたちが一分一秒をかけて仕事をこなす。効率と技術が問われる空間だ。

「一流シェフのファミリーレストラン」は、そんなキッチンを舞台にしたドラマシリーズである。

三ツ星レストランで働いていたカーミーは、兄のマイケルの自殺をきっかけに、シカゴにあるレストラン「THE BEEF」を継ぐことになる。だが、店は生ごみや調味料がいたるところに散らばり、ガス管設備等にも問題だらけ。

カーミーは新たに雇った副料理長スーシェフのシドニー(アイオウ・エディバリー)と共に店を立て直そうと奮闘する。

病んだシェフと個性的な仲間たち

肝心の主人公のカーミーだが、精神的に追い詰められ、浮かない表情でいる。前職で高圧的な上司から受けたトラウマと、兄の死によるショックが原因だ。

シェフとしての腕は一流だが、自分の殻にこもりがちでコミュニケーション下手である。

それに加えてやっかいなのが、マイケルの親友のリッチー(エボン・モス=バクラック)。「THE BEEF」のレジ係を務めるリッチーは、店外で大騒ぎする客に銃で威嚇し「Fuck you」と吐き捨てる。差別発言も悪態も付きまくり。こんな横暴な男とは、絶対に一緒に働きたくない……。と正直思ったが、彼にもちゃんとストーリーがある。曲者ほど、ギャップが効くと、好感度が高くなるものだ。

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S H A R E
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1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。