【哀れなるものたち】きっと観ない方が良い衝撃的な作品

ここまで読んであまり意味が分からないという方もいらっしゃるだろう。しかし安心して欲しい。私も開始直後はあまり意味が分かっていなかった。

話を私が映画館に到着する前に戻そう。上映時間ギリギリに到着した私は急いでチケットを購入した。時間に余裕がなかったため、時には走って映画館に向かった私の息は、チケットを購入した後も切れていて、喉も乾いていた。水を飲みたい、ジュースを飲みたい、そんな小さな欲望とは裏腹に売店は非常に混んでおり、列に並んだら確実に上映時間に間に合わないことは明白だった。しかし少し遅れてでも飲み物を飲まないと集中力が上映終了後まで持たなそうだから並ぶか、と一瞬思ったが、『ダメだ。これは仕事だ。最初から観ない人に文章を書く資格はない!』と欲望に打ち勝ち、心の中で舌打ちをしてシアターに入った。『喉が渇いた』と心の中で連呼しながら上映開始を待っているものの、一向に始まらない。

始まったのは席に座って約10分後のことだった。映画あるあるだ。基本的に上映時間には始まらない(注意:たまにすぐに始まることもあるからお気をつけを)。その時に私は思った、『ドリンク買えたじゃん』と。そんな哀れな私は、映画序盤の雰囲気から『このシュールな感じ、絶対に途中で喉の乾きが気になって仕方がなくなる』と思っていたが、否、喉が渇くという概念を忘れるほど作品に引き込まれていったのだ。

ここで簡単にあらすじを紹介しよう。

幼少期からの壮絶な人生から、全ての行為を実験として捉えている天才科学者のゴッドはある日、川に流されている女性の死体を発見する。死体となって間もなくの身体だったことから、治療すれば蘇生できると考えたゴッドは死体を実験室に運んだ。女性が妊婦であることを知ったゴッドは驚くべき行為に出る。それは女性の脳を取り出し、胎児の脳を女性に移植するという方法だ。

こうして生まれ変わったのが【見た目は大人、頭脳は子供】のベラである。分かりやすく言えば、逆コナンだ。そこからベラは性に目覚めたり、社会情勢や平和に興味を持ったり、様々な経験をしていく中で偏見のない素敵な女性へと成長していく。そして感情に興味を持たないゴッドも次第に人の心を持ち始めていく。

まず驚くのが性描写の数の多さだ。ベラは体が大人の状態から人生が始まるからか精神年齢が幼い状態から性に目覚める。最初はただの快感として性を知る。基本的に人というのは【理性→性】のイメージだが、【性→理性】になっていた。好きという感情を知らないまま、ただ気持ちが良いからという理由のみで性行為をするのだ。そのため、そこにエロティシズムは感じられず、動物の交尾をみているような感覚を持つ。

このように、心が子供だからこその好奇心や冒険心を持ち、様々な経験をしていく。もちろんその純粋さから危険な体験もするが、最終的には悪に鉄槌を下す、そんなスカッとな物語にもなっており見応えがある。

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S H A R E
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TWIN PLANET/漫才協会所属のお笑い芸人。
世田谷区用賀出身、早稲田大学理工学部卒業。
SNSでは"煽り系就活生"や"キャンパスあるあるネタ"が人気で、TikTokのフォロワー数は10.7万人。総再生回数2億回を突破。
最近では「FIFAワールドカップ2022」で活躍された“三笘薫選手”のモノマネ“似笘薫”としても活動し、メディアにも出演中。