【哀れなるものたち】きっと観ない方が良い衝撃的な作品

osanai 哀れなるものたち

自ら命を絶った女性が、天才外科医のゴッドウィン・バクスターの手によって“歪な”形で蘇生する。ゴッドウィンの庇護下で育てられるが、「自分の目で世界を見たい」という思いに駆られ、ヨーロッパ横断の旅に出る。
スコットランドの作家アラスター・グレイの同名小説を、「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督が映画化。主人公を演じたエマ・ストーンは、本作のプロデューサーとしても名を連ねている。

──

映画「哀れなるものたち」を鑑賞する前、私は特にあらすじを見ずにジャンルだけ調べていった。

ジャンルには「コメディ/ファンタジー」や「SFラブコメ」と記載されていた。だから私は『基本的にはコメディか。楽しく観て気軽に感想を書こう』と非常にラフな心持ちで映画館に向かったのだ。しかし、終わった後の心の第一声は『この映画について書きたくない』である。なぜなら私にはこの映画について文章を書けるほどの人間的な深さはないからだ。それほど私の中で衝撃が大きい作品だった。そのような感情を抱きながら脳と指を動かさなければならない【哀れな】私に、同情と、最後には賞賛をお願いしたい。

上映開始してすぐに白い台紙に書かれた絵がいくつか流され、青いドレスに身を纏った綺麗な後ろ姿をした女性が橋の上から川に飛び込むところから物語は始まる。場面は変わり、大人の女性がピアノで不協和音を鳴らしている姿へと移り変わる。この音は天才の仕業なのか?それともただピアノが苦手なだけなのか?違った。手と足で不恰好に、そして不規則的に鍵盤を叩いていただけだった。ピアノを弾くのをやめた女性は不思議な歩き方で、食卓へと向かう。開始2分で違和感だらけである。

そのままセリフもないまま、顔中に縫い目のような跡がある男性と2人で食事を始める。そこでも、女性はまるで動物かのように手づかみでご飯を食べる。そして男性は口からシャボン玉のようなものを出す。不思議な光景が続き、そのシュールな世界観に、あるタイミングで私は思わずクスッと笑ってしまう。しかし映画館にいる他の誰も笑っていないことに気付き、私はその時思った。英語でのタイトルが「Poor Things」だったので、例えば障害を持たれた方々やマイノリティと言われる方々の物語なのか?と。

1 2 3
S H A R E
  • URLをコピーしました!

text by

TWIN PLANET/漫才協会所属のお笑い芸人。
世田谷区用賀出身、早稲田大学理工学部卒業。
SNSでは"煽り系就活生"や"キャンパスあるあるネタ"が人気で、TikTokのフォロワー数は10.7万人。総再生回数2億回を突破。
最近では「FIFAワールドカップ2022」で活躍された“三笘薫選手”のモノマネ“似笘薫”としても活動し、メディアにも出演中。