ジェーンは皆が見て見ぬ振りをしている問題に対し、勇気を振り絞って声をあげた。けれど、かき消されてしまった。
見て見ぬ振りをする人々は「加害者」に加担しているようなものだ。悲しいけれど、大抵の人は「共犯者」になったことがあるのではないだろうか。
だからこそ、「#MeToo」と言えない人々の声はもちろん、あがってきた声を「受けとめる」存在が重要だ。
たとえ大きな声をあげられなくても、事が大きく進まなかったとしても、知ってもらうこと。理解してくれる人が一人いるだけで、救われる人がいるはずだから。
そして、企業や団体は様々なハラスメントに対処できる体制を整えておくことも、これからの未来を守る観点においてとても大切なことだと思う。
自分にはあまり関係ないかも?と思っている男性(もちろん女性にも)にこそ「アシスタント」を観て、考えてほしい。
経験がなくても、当事者じゃなくても、私たちの近くで様々なハラスメントに悩んでいる人がいることを、知っていてほしい。
立場は違えど、被害者の声を周囲が受けとめ、何らかの措置を取ることができたら、誰かの負担を軽くすることができる。深い傷を負わずに済む人だっているかもしれない。
自分の働く環境でこのようなことが起きていないか?
自身に見覚えのある行動はないか?
自分は共犯者になっていないか?
自分の胸に手を当て、確かめる機会となるだろう。
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■アシスタント(原題:The Assistant)
監督:キティ・グリーン
脚本:キティ・グリーン
撮影:マイケル・レイサム
美術:フレッチェー・チャンシー
衣装:レイチェル・デイナー=ベスト
編集:キティ・グリーン、ブレア・マクレンドン
キャスティング:アヴィ・カウフマン
音楽:タマール=カリ
出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファディン、マッケンジー・リー、クリスティン・フロセス、ノア・ロビンズ、ジョン・オルシーニほか
配給:サンリスフィルム
(イラスト:Yuri Sung Illustration)