かつて試合中の大怪我で選手生命を絶たれたタシ・ダンカンは、コーチとして夫であるアートのサポートを行なっていた。スランプに悩むアートに自信を取り戻させるためエントリーしたチャレンジャーツアーに、アートの元親友かつタシの元交際相手のパトリックも出場していた──。
監督は「君の名前で僕を呼んで」「ボーンズ アンド オール」のルカ・グァダニーノ。主人公のタシ・ダンカンを演じたゼンデイヤは本作で製作も手掛けている。
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映画「チャレンジャーズ」は、13年にわたる男女3人のテニスプレイヤーの三角関係を描いている。監督はルカ・グァダニーノ。扇情的なダンスミュージックと勢いのあるスタイリッシュな映像表現で、彼らの物語はコミカルかつリズミカルに展開していく。
タシ・ダンカンはゼンデイヤ演じる若きテニスの天才プレイヤー。
全米オープンジュニアのダブルス部門で優勝した親友同士のパトリックとアートは、同じく女子の部のシングルス部門の決勝で圧倒的な強さで優勝する彼女のパワフルで攻撃的なテニスを見て一瞬で魅了される。パトリックとアートは恋のライバルとなり、13年という長きに渡りタシに翻弄されていくが、それは思わぬ結末へと着地していく。
恵まれた身体能力と美貌を兼ね備えた10代のタシは、揺るがないほどの強さと自信に満ち溢れている。初めて出会ったパトリックとアートに「あなたはテニスをわかっていないわ」と言い切り、まるで自分が世界を掌握しているような振る舞いをする。思わず欲望を掻き立てられるチャーミングな魅力で、アートは「彼女に惚れない人間はいない」と何度も口にする。
カリスマ的なテニスプレイヤーとなった彼女だったが、あるとき試合中に怪我をしてしまう。再びテニスコートに戻ろうと奮闘するが、以前のようなプレイはできない。若くして選手生命を絶たれてしまう。
野心家で妥協をゆるさない彼女は数年後、アートのコーチとなる。それまで成績が振るわなかった彼を、全米オープン以外のメジャータイトルを軒並み獲得させるなど、選手として急速に成長させていく。
30代になっても第一線で活躍し、成功を手にしたタシは全身をハイブランドで包む。遠征試合中は家族と自身が雇ったサポーター達と共にリッツカールトンのスイートルームに宿泊する。一度は挫折するも、コーチとしての才能を発揮し、また妻となり母となった後も彼女の強さは揺るがなかった。それどころか、さらに進化を遂げていく。