【シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦〜】“他国の戦争・紛争に無関心である世界”が、少年たちに命がけのゲームを強いている

「どうすればいい?教えてくれ。もう限界だよ」

作中で、とある少年は泣きながらこう訴えた。子どもにこんなことを言わせる世界を、「美しい」なんて言えない。言いたくない。

不法入国以外、安全な暮らしを得る方法がない子どもたち。中東で続く内紛。ロシアとウクライナの戦争。イスラエルがガザに仕掛けた苛烈な攻撃。これらはすべて、現在進行形で地続きである。

今の自分が、彼らのためにできることを必死に考える。日々の生活を回すだけで精一杯の私には、微々たる募金と声を上げることくらいしか思いつかない。ただ、多くの声が集まることで、何かを変えられる場合もある。

無関心でありたくない。子どもが命をかけて「ゲーム」に挑む世界を、次世代に引き継いではならない。側から見るのも辛い現実は、渦中の者にとっては、“地獄”以外のなにものでもないのだから。

目を開けて、耳を澄ませて、切実な声を拾える大人でありたい。まずはそこから、はじめてみよう。“微力”は、“無力”ではない。今より優しい世界をつくるために、私たちにできることは、きっとある。

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■シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦〜(原題:SHADOW GAME)
監督:エーフィエ・ブランケフォールト、エルス・ファン・ドリール
音楽:リーズン、ルイ・レイス・マイア
出演:Mohammed(14歳、シリア出身)、Faiz(17歳、スーダン出身)、Fouad(15歳、アフガニスタン出身)、Durrab(16歳、パキスタン出身)、Mustafa(17歳、イラク出身)、SK(15歳、アフガニスタン出身)、Jano(18歳、西クルディスタン出身)、Shiro(18歳、西クルディスタン出身)、Mo(17歳、イラン出身)、Yaseen(17歳、パキスタン出身)
公式サイト:https://shadowgame.eu/en/homepage/ (英語、フランス語、オランダ語)

(イラスト:水彩作家yukko

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エッセイスト/ライター。エッセイ集『いつかみんなでごはんを——解離性同一性障害者の日常』(柏書房)刊行。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。書評・著者インタビュー『ダ・ヴィンチWeb』|映画コラム『osanai』|連載『withnews』『婦人公論』|ほか、小説やコラムを執筆。海と珈琲と二人の息子を愛しています。

エッセイ集『いつかみんなでごはんを——解離性同一性障害者の日常』(柏書房)
https://www.kashiwashobo.co.jp/book/9784760155729