【シャドー・ゲーム〜生死をかけた挑戦〜】“他国の戦争・紛争に無関心である世界”が、少年たちに命がけのゲームを強いている

今現在の日本は、中東に比べれば安全な国と呼べるだろう。だが、それはあくまでも「今は安全」というレベルの話だ。日本が戦争の渦に飲み込まれつつある流れは、この数年、異様な緊迫感を保ちながら継続されている。

何より、“他国の戦争や紛争に無関心である世界”こそが、彼らをゲームに挑ませているという事実から目をそむけてはならない。誰も、彼らを保護しようとしない。守ろうとしない。

「助けてくれ」と叫ぶ少年を殴りつける大人たちは、自分の子どもが同じ状況に立たされても、その顔を殴るのだろうか。背中を踏みつけるのだろうか。腹を蹴るのだろうか。

今日、たまたま開いたX(旧Twitter)で、こんなポストを見かけた。

ガザの友人からのメッセージ

あなたは私たちの気持ちや人生を想像できないでしょう。
世界は私たちを置き去りにしました。
ガザにいる私は死ぬのを待つのみです。
私たちの同胞が死んでいるのに、沈黙を守る世界など恥を知れ。

パレスチナアマル 北村記世実🪡 Xへのポストより引用

ガザとイスラエル間の戦争は、数日の一時休戦を挟み、再び激化した。今この瞬間も、命を落とす人がいて、家族を喪った人がいて、住居を失った人がいる。行き場も逃げ場もなく、恐怖を抱えて右往左往する人々の住まう国が物理的に離れていたとして、そんなものは「声を上げなくていい理由」にはならない。

もう、誰も殺さないでほしい。誰も死なないでほしい。戦争をやめてほしい。どの国に生まれ落ちても、子どもたちが未来を諦めずに済む世界であってほしい。その世界をつくれるはずの大人たちは、舵取りを間違えないでほしい。人命を奪った上に、正義は決して成り立たない。

1 2 3 4
S H A R E
  • URLをコピーしました!

text by

エッセイスト/ライター。エッセイ集『いつかみんなでごはんを——解離性同一性障害者の日常』(柏書房)刊行。PHPスペシャルにエッセイを寄稿。書評・著者インタビュー『ダ・ヴィンチWeb』|映画コラム『osanai』|連載『withnews』『婦人公論』|ほか、小説やコラムを執筆。海と珈琲と二人の息子を愛しています。

エッセイ集『いつかみんなでごはんを——解離性同一性障害者の日常』(柏書房)
https://www.kashiwashobo.co.jp/book/9784760155729