“「エブエブ」祭り”と振り返る2023年上半期の映画

日本からも「銀平町シネマブルース」(2/10公開)で、地方都市の映画館を舞台にそこにふらりと訪れた落ちぶれた元映画監督が映画祭によって自信を取り戻してゆくドラマとしてこのテーマを描いていました。

これらの「映画についての映画」は、偶然なのかコロナ禍が明けるタイミングで立て続けに公開され、しばらく失っていた“映画のある日常”や“映画館のある幸せ”を実感させてくれました。

アカデミー賞やここ最近の流れであるLGBTQを扱ったものとして「エゴイスト」(2/10公開)宮沢氷魚の自然な感じと、鈴木亮平の絶妙な役作りが演技力の高さを感じさせ、2人の純愛にも涙を誘う作品でした。フィンランドからの「ガール・ピクチャー」(4/7公開)も、恋愛の対象が異性か同性かがとてもフラットに描かれていて最先端の表現な感じです。

自立した女性を描いたものでは、フランス映画らしい良作があります。

パリの美しい車窓を背景に乗客の92歳のマダムの過去が明らかになってゆく「パリタクシー」(4/7公開)。80年代のパリを舞台に時代の移り変わりとともに離婚や子供の自立、新しい恋に揺れる女性をシャルロット・ゲンズブールが演じた「午前4時にパリの夜は明ける」(4/21公開)。現代パリに生きるシングルマザーが父親の介護や自身の恋に悩む姿をレア・セドゥが演じた「それでも私は生きていく」(5/5公開)。
どれも自立しながらも悩める女性たちで、だけど媚びない姿がフランスらしい作品です。

アニメでは、シリーズ最新作の「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」(4/14公開)と、ゲームのハリウッド映画化「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(4/28公開)が、今年のゴールデンウィーク時期に公開され、とてつもないヒットを飛ばしていました。が、なんと言っても、世界一のジャズプレーヤーを目指す若者を描いた「BLUE GIANT」(2/17公開)が、青春ストーリーとしてかなりのクオリティで評判も高い作品だったといえるでしょう。

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S H A R E
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移動映画館キノ・イグルー。全国で映画イベントいろいろ。年間300本くらい映画やドラマを観てます。インスタやnoteでも映画ネタを発信中。