映画と坂本龍一

osanai 坂本龍一

2023年4月2日夜、坂本龍一さん死去の訃報が流れた。

SNSでもその情報が飛び交い、それは日本に留まらず海外でも様々な人が彼の音楽や彼についてのコメントを発信していた。

これだけ多くの人に愛された日本人アーティストはそうそういない。

先日亡くなられた同じくYMOの高橋幸宏さんもそうだったけど、間違いなく日本を代表するアーティストだった。

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坂本は、映画にも深く関わっている。

代表作は「戦場のメリークリスマス」(1983)。
第二次世界大戦時の南国の島で、日本軍の捕虜となった英国兵士と日本軍将校たちとの不思議なひとときの交流を描いた作品。
大島渚監督が私財を投げ打って製作した力作で、メインキャストにデヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしという、役者ではない人たちをキャストとして抜擢している。
大島は坂本に対して、当初は役者だけでのオファーだったそうだ。しかし坂本は、大島に「音楽も担当させてほしい」と懇願、大島もそれを了承した。
そして誕生したのが名曲「Merry Christmas Mr.Lawrence」だ。この曲は話題を呼び、英国アカデミー賞作曲賞を受賞する。映画もカンヌ国際映画祭でグランプリ最有力と言われた。(受賞は逃した)

これをキッカケに「映画と坂本龍一」がはじまる。

まずは国内で、動物王国の「ムツゴロウ」として人気だった畑正憲が監督・脚本した実写映画「子猫物語」(1986)。作品の音楽を担当、映画は大ヒットする。

そして続いて手がけたのがアニメ映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」(1987)。
若き頃の庵野秀明ら、当時まだ無名の若手ばかりを起用した意欲作で、昨年リバイバル上映もされた。

同時期に、海外作品も担当している。
中国の清王朝、最後の皇帝・溥儀ふぎの生涯を描いた「ラストエンペラー」(1987)。監督はベルナルド・ベルトルッチ。
イタリア出身の俊英で、この時期はアジアを舞台とした作品を作り始めていた頃。音楽担当として、坂本に白羽の矢が立った。この作品で、日本人初となるアカデミー賞作曲賞を受賞。映画も作品賞や監督賞など主要部門をはじめ、ノミネートした9部門全てで受賞するという快挙を成し遂げる。

この辺りで、“映画音楽の坂本龍一”として世界にその名を轟かせていた。

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移動映画館キノ・イグルー。全国で映画イベントいろいろ。年間300本くらい映画やドラマを観てます。インスタやnoteでも映画ネタを発信中。