映画と坂本龍一

ベルナルド・ベルトルッチはその後も、坂本を音楽担当として立て続けに起用している。デブラ・ウィンガーとジョン・マルコヴィッチ主演の「シェルタリング・スカイ」(1990)、キアヌ・リーヴス主演の「リトル・ブッダ」(1993)。先に挙げた「ラストエンペラー」と合わせて、この3作は「オリエント3部作」と言われている。

その間にも、リドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」(1989)に楽曲提供。(映画音楽はハンス・ジマー)
本作は日本を舞台にしており、坂本には出演のオファーもあったそう。だが、アルバム制作の優先とキャラクターの違いから断ったらしい。確かにコワモテの刑事かヤクザだらけの作品で、日本の俳優陣もコワモテ揃いだった。
その中でも際立っていたのが悪役として登場した松田優作。主演のマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアを相手に存在感を見せつけた。(本作が、松田にとっての遺作となる)

この流れで紹介したいのが、「御法度」(1999)。
「戦場のメリークリスマス」で一緒だった大島渚監督とビートたけし主演、そして故・松田優作の長男である松田龍平のデビュー作が本作。幕末の新選組で男色に目覚める妖艶な若者を演じた松田龍平が話題となった本作に、坂本が音楽を添えた。きっと思い入れがあったに違いない。

その後もブライアン・デ・パルマ監督の「ファム・ファタール」(2002)、市川準監督の「トニー滝谷」(2004)、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「バベル」(2006)、三池崇史監督の「一命」(2011)、山田洋次監督の「母と暮せば」(2015)など、洋画に邦画にとコンスタントに楽曲提供や映画音楽を手がけている。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと再び組んだ作品「レヴェナント 蘇えりし者」(2015)。アカデミー賞で、監督賞を受賞。そしてレオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートにしてようやく主演男優賞を受賞した記念すべき作品となった。

李相日監督「怒り」(2016)でも、日本アカデミー賞にて妻夫木聡が最優秀助演男優賞を受賞し、その他の主要部門でもほぼ優秀賞を受賞するという作品の高評価、興行的にもヒットする。

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