年間に映画やドラマを300本くらい見ていると、その時代の傾向みたいなものが見えてきます。
そもそも映画はその時代を映すメディアなので、洋画なんか観てると世界的なトレンドが見えてきたりします。
今年もそうですが、ここ最近は、女性目線の作品が増えていることに気づきます。
しかも結構良作が多く見応えもバッチリで、楽しみながら気づかせてくれるんです。
これって#MeToo運動から連なる流れなんですが、セクハラやパワハラを受け続けた女性たちが声を上げ始めて、それが社会的なムーブメントになり映画にも反映されています。
昨年、この代表格の作品が「プロミシング・ヤング・ウーマン」でした。男性社会に対する強烈なカウンターで、キャリー・マリガンの代表作のひとつとなりました。
そして今年はどうでしょうか。
主だった作品を簡単に紹介してみます。
印象的だったのはノルウェーの「わたしは最悪。」。「ブリジット・ジョーンズの日記」のような恋や仕事にひた向きな女性の自分探しの物語で、進路や生き方を自分で決めてそれが周りからも尊重されていて自立した女性像や、社会の描かれ方がすごく今っぽい。そしてそれが決して上手くいく訳ではないところも良かった。女性の共感度は高いんじゃないでしょうか。
フランスからは「パリ13区」若者のラブストーリーを、アジア系移民が多いパリの13区を舞台にしたことで、人種やジェンダーの多様性も踏まえた女性の生き方を描くとても今の時代らしい仕上がりになってます。
特に傑作「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマが脚本に入っていて、ジェンダー的なメッセージが効いてました。
それに、「あのこと」。こちらはまだ中絶が違法だった1960年代のフランスを舞台に、予期せぬ妊娠をしてしまった女子大学生が人生の岐路に立たされてしまい、あらゆる解決策を試そうとするなかなかな衝撃作でした。女性のみが味わう苦痛や不平等さへのメッセージがすごいです。アニー・エルノー原作で、ヴェネチア国際映画祭を制してます。