女性の立場を見つめ直す作品たち

海外ドラマでは、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」が面白さでも今年一番でしたが、王座を引き継ぐのが男子ではなく王女だったりして(それで争いが起こるんですが)、自立した女性像への意識が強く感じられます。出産シーンも多く、子供を産むという女性ならではの特性も多く描かれてました。
ちなみに本作は、史上最も多くの賞を獲得している海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」待望の新作なんです。

リバイバル上映でも今年話題になっていたものは、結構このテーマ性の作品が多かったです。アメリカの「WANDA/ワンダ」も今年ヒットしましたが、ゆきずりの男性に翻弄される全然自立してない女性を描いた1970年の作品です。今と違うところが、逆に今の空気を感じさせる作品になってました。女優のバーバラ・ローデンが初監督、ヴェネチア国際映画祭でも受賞しました。

チェコの「マルケータ・ラザロヴァー」も1967年制作と昔の作品で、中世ヨーロッパを舞台にしています。豪族間の対立に巻き込まれ、自分の意思とは関係なく道具のように利用される少女マルケータの悲劇を、モノクロの幻想的な映像で描いたダークなおとぎ話のような作品でした。

そしてフランスのシャンタル・アケルマン監督の特集上映で一際異彩を放っていたのが、「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地」というこの長いタイトルの作品。上映時間も200分と、3時間越えの長さで、ある主婦の日常を淡々と描いた作品なのに全く飽きない見応えのある作品でした。
シングルマザーの苦悩が描かれていたということが分かり、この完成度にひれ伏しました。1975年の作品ですが、こういった作品がリバイバルされて、そしてヒットしていたります。

という感じで、つらつらと簡単に、今年公開されたいろいろな作品を紹介してみました。

共通しているのは、どれも女性の立場を見直すようなテーマ性の作品であること。
本当に良作も多いです。作品の中身だけじゃなくて、こういったテーマ性の作品の脚本を女優が自ら書いたり、監督もしたり、プロデューサーとして企画からつくったりという例も増えてます。

こういったことを、ちょっと意識してみて映画を観るのも楽しいのではないでしょうか。

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S H A R E
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移動映画館キノ・イグルー。全国で映画イベントいろいろ。年間300本くらい映画やドラマを観てます。インスタやnoteでも映画ネタを発信中。