【クレイジークルーズ】狂っているのは環境でも状況でもない。人の心だった。

ここで、簡単に映画の内容を記載する。豪華客船内で遺産相続目的の殺人事件が発生。それを目撃したはずなのに「目撃していない」と言い張る乗客に翻弄されつつも、問題解決のために奔走する主人公の冲方と、突如現れる謎の美女 磐若千弦ばんじゃくちづる(演:宮﨑あおい)の物語だ。謎の美女とは書いたが、正体は意外とすぐに分かる。冲方が婚約を考えている女性と浮気している(しかけている)男性の彼女が千弦なのだ。ミステリー要素もあるがラブロマンス的内容も含まれており、とにかく宮﨑あおいさんと吉沢亮さんのやり取りが微笑ましい。衣装やメイクが変わるシーンも多く、内容に興味がなくても目の保養にうってつけ。2時間の鑑賞中に何度、宮﨑あおいさんに見惚れてしまったことか。

話を戻そう。私は最初、この作品が『ただただ狂った人しかいないだけの物語だった』と書いた。その理由は、バトラーの冲方が「申し訳ございません」と謝っている相手が全員クレイジーな登場人物だったからだ。

クレイジーというと、良い意味で捉える方もいるだろう。しかしここで表現したクレイジーは完全に悪い意味だ。自分の見え方しか考えていない船長、お金のことしか考えていない医者、地位しか考えていないプロデューサーなど、それぞれが自分のことしか考えていない所謂いわゆるクズ人間。主人公は自分で、それ以外は脇役でもなんでもない、ゴミのように扱う人間のこと。『個性的で良いじゃないか。自分のやりたいように生きているのは素敵だ』と声を上げる方もいるかもしれないが、私が言っているのはあくまで、地位がなくなった時に人が離れていくような立ち振る舞いのこと。

ただここで一点、このクレイジーな行為は案外あるあるだとお伝えしたい。社会でよく見る光景なのだ。港区界隈のBarに行けば簡単に見つけられることだろう。そこにはお金や地位でしか判断し合っていないような人間関係なんてざらにある。ここだけの話だが、そういう人間達のことを私は、『かわいそう』だと思って鼻で笑ってしまうこともある。もちろんクレイジーピーポー達は私のような貧乏人を鼻で笑うどころか、視界にも入っていないだろうが。長々と書いてしまったが、つまりはこの客観的に狂っている、豪華客船でのやり取りは、狂っているようで『現代社会の写し絵』と言える。

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S H A R E
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TWIN PLANET/漫才協会所属のお笑い芸人。
世田谷区用賀出身、早稲田大学理工学部卒業。
SNSでは"煽り系就活生"や"キャンパスあるあるネタ"が人気で、TikTokのフォロワー数は10.7万人。総再生回数2億回を突破。
最近では「FIFAワールドカップ2022」で活躍された“三笘薫選手”のモノマネ“似笘薫”としても活動し、メディアにも出演中。