【シビル・ウォー アメリカ最後の日】分断を理由に諦めないために

「お前はどの種類のアメリカ人だ?」

旅の途中、リーたち4人はアジア系の記者2人と合流するが、そのうち2人が、農場で明らかに違法な形で死体処理をしていた軍人に見つかり、捕まってしまう。

安っぽいプラスチックのサングラスをかけた、この軍人が登場してからのシーンが本当に恐ろしい。ずっと続く緊張感に上半身を強張らせながら見ることになった。

軍人は、まず外見が明らかにアジア系の記者を無言で射殺する。その後、「同じアメリカ人同士だから、助けてほしい」と声をかける記者ジョエルに対し、「それで、お前はどの種類のアメリカ人だ?」と静かに問う。肩からかけた銃の引き金に指をかけたり、外したりしながら、ゆっくりと。一人ひとりに目を向けながら。

この軍人が連邦政府側なのか、西部勢力側なのか、見た目ではわからない。何を答えたら助かるのかがわからない。そもそも、この軍人が何を期待して、この質問をしたのかもわからない。答えたら助かるのかもわからない。何もかもわからない。でも、答えないと殺されることだけはわかる。

一人ずつ出身地を答えていく。コロラド。セーフ。ミズーリ。セーフ。最後にアジア系の記者に話しかける。震えて言葉が出ない記者に、軍人はゆっくりと話しかける。「英語で話せ」。記者は泣きながら答える。「香港…」。軍人は「中国か」と小さく呟いて、記者を射殺する。

最初にアジア系の記者が無言で殺されたときから、ずっと「お願いだから撃たないで」と思って観ていた。心底怖かった。張り詰めた空気の中で穏やかに響く軍人の声。妙に長く感じる時間。意図が汲み取れない質問。暴力での圧倒。耳に突き刺さる銃声。緊張と恐怖と死。

「なぜアメリカで内戦が起きたのか」という問いへの答えは、このシーンに全て詰まっていたように思う。それはつまり、内戦が起きたのは偶然ではなく、こういうことをやれてしまう人たちと同じ社会で暮らした結果として起きた、ということだ。

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S H A R E
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1984年生まれ。兼業主夫。小学校と保育園に行かない2人の息子と暮らしながら、個人事業主として「法人向け業務支援」と「個人向け生活支援」という2つの事業をやってます。誰か仕事をください!