「虎に翼」の事を語りだすと自分語りが止まらなくなってしまいがちですが、もう一つこれだけ言及させてください。
つい「何かに無我夢中になって」(優三さんの弁)突っ走ってしまうタイプの人間としては、語らずにはいられないのは優三さんと穂高先生の存在です。
寅子を、「女性だからこうしなさい」、という枠にはめず、人としてその可能性を信じて、応援してくれた人達。時には寅子以上に、寅子の未来を信じてくれた人たち。
その人たちの応援があったからこそ、その応援が翼となって、寅子は前に進んでいけたのだと思います。
私にも幸いな事に、私以上に私の未来を描いて応援してくれている人たちがいました。経済界で名だたる実績のある方々が、「あなたはもっとできるはず」と言って叱咤激励をしてくれています。それがどれだけ、心強い事か。
キャリアを積んでいく中では、自分の目指す方向に進んでいく道の途中で、自分の中からの想いだけでは息切れする事もあります。壁にぶつかったり、落ち込んだりする時もあります。そんな時でも、そっと寄り添ってくれたり、励ましてくれて、ずっと信じてくれる人たち。
目指すところに向かって前に進み続けていくのは、決して自分だけの力ではありません。周りの人の応援やサポート、自分の可能性を信じてくれているという実感が、心の灯をともすエネルギーになって、空を飛ぶ燃料になっていると思います。
まだまだ寅子のような偉業には程遠い状況ですが、それでも、自分が無我夢中で進んでいきたい道を、後悔せず、心からやり切っていきたいと思います。
最後に、優三さんのように、三歩後ろを歩く事を求めずに、こんな私の猪突猛進ぶりを面白がって見守ってくれている夫には、心からの感謝を述べたいと思います。
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■虎に翼
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉
制作統括:尾崎裕和
作:吉田恵里香
美術統括:日髙一平
美術:川名隆、小泉章一、平岡未帆、荻野紗
法律考証:村上一博
裁判所考証:荒井史男
風俗考証:天野隆子
旧字考証:三浦直人
医事考証:冨田泰彦
制服考証:刑部芳則
朝鮮学生考証:崔誠姫
ジェンダー・セクシュアリティ考証:前川直哉
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
語り:尾野真千子
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、三山凌輝、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、小林涼子、安藤輪子、羽瀬川なぎ、筒井真理子、中村育二、田中真弓、田中要次、高橋努、塚地武雅、松山ケンイチ、小林薫ほか
放送:NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/toranitsubasa/ts/LG372WKPVV/
(イラスト:水彩作家yukko)