高木さんは、ほぼニコニコされていて、女性として余裕もあって。
でも心の中はピュアで。
ニコニコしている中に、期待したり、がっかりしたり。リアルな人間の、リアルな感情を隠すときの表情、これって映画を見えるメンズたちは感じ取ってるのかな?なんて女心で思いながら見てた。
ここが今泉監督がつくる意義でもあり、というか、意味があって。
作品が色んな方の手で相乗効果に素敵になってるな、と理解した。
このレビューを読んでくださっている皆さまは、経験したことがあるだろうか。
女子の“間”、を。
花火大会のシーン、西片の言葉に曖昧な相槌を打って、会話に“間”ができる。
この“間”は高木さんにとって自然か、敢えてか。
女の子ってそういう時、期待しちゃったりするんですよ。あー、今、告白してくれないかなって。けれど、その間は、期待していたもので埋まるとは限らない、ですよね。
中学生の女子が語った「好きになっちゃいけない」という彼への気持ちも、ダメと分かっていてもなお、それでも好きがふわふわしちゃう女心も。
もどかしいですね。
これはピュアな初恋物語。なのかもしれない。
誰かにとっては過去で、誰かにとっては今。
いつもより少しだけ、口角があがる帰り道でした。
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■からかい上手の高木さん
監督:今泉力哉
原作:山本崇一朗『からかい上手の高木さん』
脚本:金沢知樹、萩森淳、今泉力哉
撮影:岩永洋
音楽:大間々昂
主題歌:Aimer「遙か」
出演:永野芽郁、高橋文哉、月島琉衣、黒川想矢、鈴木仁、平祐奈、前田旺志郎、志田彩良、白鳥玉季、齋藤潤、江口洋介ほか
配給:東宝
公式サイト:https://takagi3-movie.jp/
(イラスト:水彩作家yukko)