春画研究者である芳賀は、妻に先立たれて以来、研究に打ち込む日々を過ごしていた。そんな芳賀から春画を学ぶ春野は、春画の魅力に惹かれると同時に、芳賀に対しても恋心を抱いていく。
監督・脚本は塩田明彦。内野聖陽が芳賀を、北香那が弓子を演じた。他に共演は柄本佑、白川和子、安達祐実。
──
「『笑い絵』と称される春画。その世界に魅せられたおかしな者たちを描く、偏愛コメディ」という、この作品のキャッチコピー、実際の作品と印象がかなり違う。
「お茶漬けを食べに来たつもりだったのに、出てきたのがカルビクッパだった」くらいなら「意外と韓国風だったね」で穏便に済ませようじゃないか。しかし、出てきたのは「お茶漬けにインスパイアされたプリン・ア・ラ・モード」だったのだ。さすがに驚く。戸惑いながらも口にしたら、今まで味わったことがない、何とも言えない風味がしてさらに驚く。
最初に書いておこう。
この作品は春画の映画ではないし、春画を推す映画でもない。恋愛は描かれないし、コメディではない。「性」というとらえどころのない、生々しくて根源的なテーマに正面から向き合った、実験的で現代的なファンタジー映画である。