しかし、ある事件をきっかけに、松子は「マナちゃんと出会わなければよかった」と言い放つ。いとも簡単に、マナを裏切るのだ。
松子は、どんなにたくさんの人に求められても、幸せを掴んだように見えても、本当の意味での「孤独」から抜け出せなかったのだ。
私は作品を観た後に、考えさせられた。
「家族」とは、一体何なのだろうか?
私にとっての「家族」は、「壊れないように自分が守りたい」存在だった。
私は三姉妹の長女としてこの世に誕生し、父親にも母親にも恵まれた。厳しくも愛情を持って育ててもらった。
それでも、子供の頃からずっと違和感があった。
「なぜ、こんなにも自分の悩みや想いを言い合わないのだろう?」と。
子供の頃から思ったことをそのまま言葉にしてしまう私は、親に対して意見しようものなら否定され、より強く叱られた。
そんな私の姿を見た妹たちは、ますます自分の意見や考えを親に言わなくなった。
自分が支柱にならないと、この家族は崩壊してしまうのではないか、と本気で思った時もあった。
それでも、私は家族と過ごす時間が、家族のことが大好きだった。家族を守るために、家族であることを続けるために、
「いつも強くいないといけない」
そんな風に思い続けてきた私は、自分の悩みや孤独な気持ちを家族だけでなく、他人にも打ち明けることができなくなった。
大人になった今、あの頃の私に対して思う。
本当は、自分ばかりが抱え込む必要なんてなかったよ。気がついたら自分たちでその壁を乗り越えてるんだから、と。
きっと、そうやって私が一生懸命になることで、家族が離れ離れになってしまうかもしれない不安な気持ちを紛らわそうとしていたのだと思う。
それでも、いつか自分が作る「ファミリー」は、お互いに思ったことを言い合って、どんなことも受け止め合える関係にすると、心に誓った。