個人のために国家があるのか、国家のために個人があるのか
──曽我さんが編集された『人はなぜ戦争を選ぶのか』は、どんな本なのでしょうか?
この本で取り扱っているのは、アテネ出身の歴史家・トゥキュディデスが記した『戦史』です。ペロポネソス戦争下で、アテネの政治家や将軍がどんな演説をしたかが『戦史』には数多く収められていますが、編著者のジョハンナ・ハニンクさんによって、特に象徴的とされる6つの演説部分が抜粋されました。読みやすく新訳され、「人と戦争の本質」を理解する入門書的な一冊になっています。
当社では2020年から「哲人に学ぶ人類の知恵シリーズ」を発売しています。全9作のシリーズですが、私は6作目から編集を担当しています。シリーズ最後の1冊として編集したのが、『人はなぜ戦争を選ぶのか』なんです。
──編集はいつ頃から開始されたのでしょう?
早々に翻訳原稿は手元にあったのですが、「戦争」という重いテーマを扱うことから、少し着手を遅らせていたんです。いよいよ編集に取り掛かるタイミングで、ちょうどロシアのウクライナ侵攻が始まりました。