【フランケンシュタイン】「許さない」の先にあるもの

osanai フランケンシュタイン

氷山に座礁した船舶のそばで、瀕死の重傷を負った男が倒れていた。その男を船に救出すると、巨大な“怪物”が襲ってくる。その怪物は、救助した男によって生み出されたものだった──。
監督は、「シェイプ・オブ・ウォーター」「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。科学者のヴィクター・フランケンシュタインをオスカー・アイザックが、怪物をジェイコブ・エロルディが演じている。

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1995年に施行された製造物責任法には、以下のように書かれている。

第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

スマホに不具合があってケガをした場合、メーカーに損害賠償に応じる責任がある。作った人が作ったものについて責任を持つ。当たり前のことだ。

では、造物主である神は、創造した人間に対して責任を負っているのだろうか。人間が間違いを犯したら、その責任は神にあると考えていいのだろうか。

この問いに対して、例えば、キリスト教のある学派では以下のように説明される。

「神は万物の『第一原因』であり、存在の根源だが、具体的な選択・行為は『第二原因』である人間が行う。そのため、罪の直接原因は人間の自由意志にある。」

神は製造物に責任を負わない。僕ら人間は、生きづらさにつながる因子を持って生まれても、過酷な境遇で育つことになっても、そのことが原因で何か間違いを、罪を犯すことになっても、その責任を造物主に問うことはできない。自由意志に基づいた自己責任論。論理は理解できる。そこに正しさがあることも。しかし、どうしてもそれを受け入れられない場合は、どう生きればいいのだろうか。

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S H A R E
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1984年生まれ。兼業主夫。小学校と保育園に行かない2人の息子と暮らしながら、個人事業主として「法人向け業務支援」と「個人向け生活支援」という2つの事業をやってます。誰か仕事をください!