【名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN】名もなき者、で居続けたいボブ・ディランの姿

1960年代
キューバ危機
ベトナム戦争
人種差別
社会の混乱と動乱

その中で彼はスターになる

彼の紡ぎ出す言葉とメロディーに
皆が夢中になり
心酔して
狂乱となる。

彼の詩やメロディーは
メッセージ性が強いと言われているが
本人はそれほど
何かを伝えて、何かを変えようとはしない。

ただ目の前の事実を
その時の感情を
淡々と、粛々と紡いで
音にして、詩にしていく

だからこそ
ずっとそばにいたガールフレンドが
なぜ自分から去るのかも
バディとしてツアーを回る女性歌手に
出て行けと言われたとしても
ありのままを受け入れて
慟哭したり、落ち込んだりしないのだろう。

一つの事実として受け入れる。
それだけ。

それは強さなのか
弱さなのか
考えがあってのことなのか
ないことなのか
全く分からないけれど

名もなき者
転がる石ころのように

と歌う姿は人々から熱狂と畏怖の存在になる。

ボブ・ディランがシンガーソングライターという
ジャンルをつくり
フォークなのかロックなのか
分からない区分の曲を作り
後世の人に大きな影響を与えたのは
彼の詩や曲が素晴らしいということもあるが
彼はただ「名もなき者」として
その時代、時代を切り取っていたからではないか。

彼と同じようなタイミングで
英国ではビートルズが出てきて
これまた世界中で大ブームとなり
熱狂の渦に取り込まれていく。

ボブへの熱狂とは違う大衆の熱狂。

ふと思い返す。

なぜ、ビートルズの曲は
割とどんな歌もきいたことがあり
有名な曲をいくつかあげようと思うと
色々浮かぶ。

ポップミュージックとフォークという違い
メッセージ性の違いはあるかもしれないが
ビートルズもボブ・ディランも間違いなく時代の寵児で
新たな時代を築いた影響の大きい人たち。

それほど音楽にもカルチャーにも関心がない
私のようなタイプには
正直、ビートルズで十分なのだ。

ボブ・ディランは
重い、暗い
そして良く分からない。

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S H A R E
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エッセイスト願望のある普通のワーママ。日々仕事と育児に追われる中で、少しでもユーモアな方向で昇華したいと願い、いろいろと書いています。家事スキルは高くなくとも、仕事でフルパワー出せなくとも総合力では戦っていける!
最近のモットーは「今日の私が一番若い。」