興行的にヒットした作品はどうだったか。
それでいうと、「キングダム 大将軍の帰還」(7月12日公開)は、興行収入80億円を突破し、今年邦画ナンバーワン。シリーズ最高の成績を叩き出しています。
そして、外資系大手通販サイトを巻き込んだ爆弾テロに立ち向かうサスペンス「ラストマイル」(8月23日公開)が、脚本の野木亜紀子の過去のドラマ作品「アンナチュラル」や「MIU404」も劇中に登場する豪華な演出もあり、50億円を超える大ヒット。
ピクサー最新作「インサイド・ヘッド2」(8月1日公開)は、主人公のライリーが思春期になったことで本作のキャラである”感情”が増えて、より複雑になった頭の中を描いて52億円を超える大ヒットに。そして興行収入の年間トップ10に唯一入った洋画でもあります。
そんな洋画が苦戦する昨今ですが、下半期の洋画はどうだったかというと、「ヴェノム:ザ・ラストダンス」(11月1日公開)や「グラディエイターⅡ 英雄を呼ぶ声」(11月15日公開)などハリウッドメジャーの大作シリーズもあったものの、昨年のストライキの影響でその数は圧倒的に少なかったのが現状。
その中でも「ツイスターズ」(8月1日公開)は、竜巻を追う気象学者とYouTuberの攻防という異常気象の昨今にリアルで今っぽい設定でヒット。主演のグレン・パウエルは、「トップガン マーヴェリック」の生意気な練習生で一躍有名になり、「ヒットマン」(9月13日公開)では主演に加え、脚本まで手掛けておりノリに乗っている。
そして、新進気鋭の映画レーベルA24が過去最高に予算をかけた「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(10月4日公開)は、分断するアメリカで内戦が起きたら、というありえなくもないけれど、あってほしくはない世界を描き話題をさらった作品。
さらにエマ・ストーンとヨルゴス・ランティモス監督のコンビ作「憐れみの3章」(9月27日公開)が「哀れなるものたち」(上半期)に続いて下半期でも公開。このコンビでは早くも3作目となる。
いろいろあるものの大ヒット作品はないのが寂しいところ。
そんな中、ミニシアター系でヒットしているのが「ロボット・ドリームズ」(11月8日公開)。孤独なドッグが友達ロボットを注文し、この二人の友情の日々を描いた作品なんですが、なんと全編セリフなし。なのにその心情がとても伝わり、音楽もとても効果的に使われていてヒットしている。
「ソウルの春」(8月23日公開)は、昨今ニュースになっていた韓国大統領についての話で、全斗煥がクーデターによって政権を奪取した事件を緊張感あふれるエンタメにした実録ものの内容。「KCIA 南山の部長たち」や「タクシー運転手 約束は海を越えて」など韓国大統領ものは歴史の勉強になります。そして韓国映画は安定的に外国映画の中で量が多いです。