【虎に翼】少しでも楽しい地獄へ

osanai 虎に翼(ふたたびの東京編)

日本初の女性弁護士で、後に裁判官となる猪爪寅子。新潟から東京に戻ることになった寅子は、東京地裁の判事として、「原爆裁判」を担当することになる。
主人公の寅子を演じるのは伊藤沙莉。映画、テレビドラマ、アニメ作品などを手掛ける吉田恵里香が脚本を担当。また本作は、日本初の女性弁護士の三淵嘉子(故人)がモデルになっている。

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「虎に翼」。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づく物語。この作品は、時代の栞のような作品だった。

私は今年、30歳になった。諸先輩方から、「30歳になったら、いろんなことがどうでもよくなって、解放されるよ!30代が一番楽しいから!」とアドバイスをいただいていた。「20代」という若さを象徴する称号がなくなることを楽しみにしていた。

だけど、誕生日を迎えたあと、消えてしまいたくなった。

ここまで、歩んできたキャリアは一つも後悔していない。もちろんうまくいったことも、うまくいかなかったこともある。それでも、人にも、仕事にも、すごく恵まれた。今年は転職も経験したが、新しい職場も刺激が多く、とても面白い。なのになぜだろう。

30歳で、結婚をしていない。子供がいない。

深く掘ると、この二つで、どうしようもなく自分の存在価値が揺らいだようなのだ。結婚も出産も個人の自由。なのに、結婚や出産というライフイベントが私を戸惑わせている。そのことに、ひどく驚いた。

キャリアを積むために働くことだって、前のパートナーと別れたことだって、自分で決めて選んだ道だ。「虎に翼」の主人公である猪爪寅子の母・はるさんは、作中で適齢期に結婚をせず法の道を歩むことを決めた寅子に対して「地獄の道」を進む覚悟を問うた。私も自分で選んだはずが、30歳になったら見えない物差しで他人と比べて、ジタバタして。ダサい。かっこ悪い。これを読んだ知り合いには、がっかりされてしまうかもしれない。

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S H A R E
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1994年長野県生まれ。PRプランナー。いつだって、楽しく誰かを巻き込む仕掛けを考えること、作ること、広げることが好き。