約37兆個の細胞で構成されている人間の体内。酸素を運ぶ赤血球や、細菌と戦う白血球など、様々な細胞たちがそれぞれの役割を担いながら働いていた。
清水茜のマンガ『はたらく細胞』を、「テルマエ・ロマエ」「翔んで埼玉」の武内英樹が映画化。主人公の赤血球を永野芽郁、白血球を佐藤健が演じている。
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働くとはなにか
仕事とはなにか
役割とはなにか
格好良いとは
強いとは
そして
私たちは何を目指すべきなのか。
漫画原作で
ハッピーな映画というイメージだったものの
実際に映画館で見ているなかで
なんだか考えさせられることが多い内容だった。
年の瀬に見たということで
今年一年の総括をしてしまったのは
きっと私だけではないはず。
酸素を運ぶ赤血球
病原菌を見つけて戦う白血球
マクロファージはヘルパーT細胞に報告
そしてヘルパーTはキラーT細胞に指令
一人で戦うNK細胞
出てくる描写は様々なのに
常に問われる
「己の役割とは何か」
「何のために自分はいるのか」
赤血球は迷う。
自分は白血球やキラーTのように病原菌と戦うことはできない。
ただ、酸素を運ぶだけの役割。
時には細菌に搾取されてしまう弱い立場。
寿命が尽きたら最後は破壊されるだけ。
そんな自分の役割に戸惑う。
しかし、白血球は言うのだ。
お前が酸素を運んでくれないと、俺たちは戦えない。
そう、赤血球がいないと
どんな細胞も動けない。
世界(身体)の中で、酸素は必要不可欠なのだ。
他人から指摘されることで気づく自我。
赤血球は自分の役割を再度認識し
やるべきことをやる。と腹を括って酸素を運ぶ。
世界の中の個と
個から見た世界と
それぞれがそれぞれの役割を担っていくこと。
みんな違って、みんな良い。
ものすごく当たり前のことなのになあ。
日々慌ただしく生きていると忘れがち。
どうして、私たちは
どの仕事がカッコイイか
どの仕事がスゴイのか
と、つい考えてしまうんだろう。
どの仕事だって本当は重要なのに
給料や、やりがいや、社会的貢献や
そのほかの何かのなかで
自分を改めて階層社会に置いている。
そして大人は
それを子供に求めてしまう。